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「文字展1」at HHH gallery。“文字”を礎とし独自の表現を追求しているアーティストたち

byHidenori Matsuoka

 

世界中に数多く存在する文字。それらは、そこに住んでいる人々の民族性や地域性が、歴史と共に反映されてきたものといえる。そして現代においてもまだなお、アーティスト達によって新しい文字が生みだされている。彼らは、自身が身を置くコミュニティ、ライフスタイル、精神世界、それらを背景に文字をクリエイトし、時にそのスタイルを競い合ってきた。このストイックな試みの繰り返しによって生みだされた文字は、同じ嗜好を持つ人間同士のビジュアルコミュニケーションの範疇を超え、その他大勢へと訴えかける純粋なアートへと昇華されている。そう、古代から現代に流れるカリグラフィやハンドレタリングの歴史に、新たな“文字”が刻まれようとしているのだ。
7月2日から24日までHHH Galleryにて開催される「文字展1」。ぜひ会場で彼らの文字を読み解いてほしい。
 
Featuring artist
BIG SLEEPS, CRYPTIK, DEFER,
MAYONAIZE, PITC -dinero2078-, USUGROW
 
BIG SLEEPS
http://letterstoliveby.com
https://www.instagram.com/bigsleeps
ロサンゼルスを拠点に活動するBIG SLEEPSは、レタリングムーブメントの頂点にいる一人である。ギャング、刑務所で過ごした過去からアートにより人生を変え、ギャングライフの象徴であったレタリングスタイルをアートにまで高めた。現在は数多くのエキシビションへの参加、Hurley、Nike等、企業とのコラボレーションを行う等、多くの人々を魅了している。若者達に希望とインスピレーションを与える事を目的にワークショップやセミナー等社会貢献活動も行っている。
 
CRYPTIK
http://www.cryptik.com
https://www.instagram.com/cryptk
ロサンゼルスを拠点に活動するアーティストCRYPTIKは、精神性と意識の世界を探求するアート作品を制作。彼なりの神々や精神的主導者たちの図像的表現と共に、街の景観やギャラリーも装飾する彼の特徴的なカリグラフィは世界中で見ることができる。多様なイデオロギー、哲学、そして信念体系を取り巻く現実。宇宙に存在する自分たちの場所を我々がよりよく理解できるように、あらゆる可能性を考え、さまざまな現実を見ることを人々に提案することがCRYPTIKのアートの目的である。
 
DEFER
http://deferism.com
https://www.instagram.com/deferk2s
1980年代中盤から起こったロサンゼルスの初期のグラフィティアート・ムーブメントに欠かせない存在であるDeferの作品はこの10年間でファインアートの領域へと進化してきた。最近の彼の作品は体系的な文字の形を消し去り、滞在意識からのメッセージを伝えながら無意識の中で自然に沸き起こるブラシストローク、Deferいわく「霊的な言語」に発展している。パサデナのカリフォルニア美術館をはじめとする多数の美術館にキャンバス作品が展示されている。
 
MAYONAIZE
http://mayonaize.com
http://instagram.com/mayonaize
メルボルンを拠点に活動するファインアーティストMAYONAIZEは、彼独自のレタリングスタイルを用いた、キャンバス、ミューラル等の作品を制作している。2001年にメルボルンに移住したことが彼のアーティストとしての輪郭を育て、数々の要素が交わる彼のアートスタイルに大きな影響を与えた。意図的にスピーディなフロウを感じさせるハンドレタリングだが、単色テキストの複雑かつ精巧、正確な描写が作品に独自性を与えている。世界的に名の知られるEVERFRESH STUDIOで制作を続けている。
 
PITC
P.I.T.C(Product Industrial Toxic Contaminat)は、1978年、ペルーのリマで生まれ、1996年から日本を拠点に活動。
2013年からは“DINERO2078”というテーマを掲げ、新しいアルファベットを創造し、ネオアートを制作している。彼の提唱する「DINERO 2078」とは、これから訪れる未来、新時代へのアプローチであり、作品には彼の創造したアルファベットと共に、未来への思いが投影されている。
 
USUGROW
http://usugrow.com
https://www.instagram.com/usugrow
パンク、ハードコアシーンでのフライヤー制作から始まったUSUGROWのアートは、繊細なイラストレーションと共にレタリングも追求していた。当初、日本の書道、LAのチョロスタイルに影響を受けていたレタリングスタイルは、各地への旅、歴史、宗教、文字への学びを経て、独自の変化を遂げてきた。漢字、アラビック、ラテンアルファベット等の要素を織り交ぜたレタリングスタイルの一つをCosmopolitan(世界主義者)と名付け、歴史、自然との対話をテーマにキャンバス、ミューラル作品を制作している。