ミニマルでストイックな表現とは裏腹に長場の作品は一見ポップで溢れている。しかし究極の引き算で計算され作り込まれた線は、キースへリングの即興ドローイングから受ける印象とは異なる緊張感、繊細さを併せ持ち、ポップの背後にはコンセプチュアルな趣が漂う。
代名詞ともなったACE HOTELのメモ帳に描かれたドローイング。
「そのまま大きくなったら面白いよね」 の一言に端を発し、2015年MIDORI.so2 GALLERYで開催した展覧会“A Piece for a day”の熱量をそのままキャンバスワークに置き換えて展示したいとのオファーを長場が快諾した事により本展覧会が実現。
タイトルの「Express More with Less」(少ない情報でより豊かな表現をする)は長場の描くドローイング最大の特徴で、短時間で情報を大まかに掴み、細かいことは気にせず目に映ったモチーフが発する空気もろとも取り込み描いていく。鑑賞者と作品の距離を縮めるため、モチーフには多くの人が関心をもつ「人物」が選ばれている。このスタイルを修練する事で一躍人気アーティストとなった長場。本展覧会では支持体を紙からキャンバスへと変更する過程で、これまで制作してきた作品を再構築しイラストレーションの持つ可能性を追求している。
作品展示のほか、活版印刷によるプリントの販売や、今回初お披露目となるグッズの販売も行うとのこと。展示初日にはアーティスト本人も在廊する、貴重な機会をお見逃しなく。
作家コメント
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こどもの頃、父親が仕事で海外にいく度に持ち帰ってきたホテルのアメニティには、自分の知らない国の特別な空気がなんとなく感じられて、その国に思いを馳せたりしていた。
2013年の夏にニューヨークのACE HOTELに泊まってホテルのアメニティとして置かれていたメモ帳を見た時に、その時の気持ちが蘇り、大事に持ち帰ってきたことがはじまりだ。
たいていそういうものは引き出しの奥で眠りつづけたり、どこかのタイミングで捨ててしまったりするのだけど、なぜかこのメモ帳は捨てがたく、ある時ふと取り出してきてここに絵を描くことを思いついた。
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“Express More with Less” by 長場 雄
会場:GALLERY TARGET
住所:東京都渋谷区神宮前2-32-10
会期:5月1日(水)-5月17日(金)
時間:12:00 – 19:00 *会期中無休
オープニングレセプション
会場:GALLERY TARGET
日時:5月1日(水)18:00 – 20:00