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大山エンリコイサム、グラフィティ文化が持つ時間の問題を照らす「Present Tense」

byHidden Champion

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Enrico Isamu Ōyama, FFIGURATI #133, (H)183cm x (W) 487.7cm, 2014-2016, Acrylic-based aerosol, acrylic-based marker, sumi ink and latex paint on canvas mounted on aluminum and wood panels (4)

 

HIDDEN CHAMPION 41号でインタビューを敢行したニューヨーク在住のアーティスト、大山エンリコイサムの日本初個展がTakuro Someya Contemporary Artにて8月20日より開催される。
 
グラフィティ文化の視覚言語を翻案したモチーフで知られる大山エンリコイサムは、壁画や絵画を中心に、ライヴ・パフォーマンスやサウンド・インスタレーション、商業コラボレーションまで広く制作している。70年代のニューヨークで生まれたグラフィティ文化は、名前をストリートにかくことで、かき手のアルター・エゴを表すものであり、それは「名前」であることと「ストリート」であることが強く結びついていた。大山はその結び目を解くため、そこから文字を取り除き、描線の運動に還元し反復することで、抽象的なかたちの広がりに再構成し、独自の呼称と生をもつひとつの連続体となるという構想のもと「クイック・ターン・ストラクチャー」を生み出した。そしてそれらはグラフィティの綴りをねじり、イタリア語の「figura ti (自身で象れ)」という表現を重ねた造語「FFIGURATI」という語が連番とともに題名として与えられている。
 
今回の個展「Present Tense」は、グラフィティ文化において特徴とされる「I was here」という「過去時制」に対し、作家はその瞬間そこにいるという「現在時制」をテーマとしている。ニュージャージー、ロンドンでの個展に続く新作として世界が注目する大山エンリコイサムの作品を直に見れる絶好の機会を見逃さないでほしい。